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モッズファッション入門:定番モッズコートの選び方と着こなしの基本

Tags: モッズファッション, モッズコート, UKロック, ファッション入門, 着こなし

特定の音楽やアートシーンに根差したファッションは、その文化への理解を深める上で興味深い入り口となります。中でも、1960年代のイギリスで花開いたモッズシーンとそのファッションは、今なお多くの人々に影響を与え続けています。そのモッズスタイルを象徴するアイテムの一つに、モッズコートがあります。

このコートは、単なる防寒具としてだけでなく、モッズたちのアイデンティティを示す重要な要素でした。今回は、このモッズコートに焦点を当て、その特徴やモッズシーンとの関連性、そして初めてモッズスタイルを取り入れてみたい方が知っておくべき選び方や着こなしの基本について解説いたします。

モッズコートとは? その特徴と歴史的背景

モッズコートは、本来ミリタリー由来のパーカで、特にアメリカ軍が極寒地での着用を想定して開発した「M-51」や「M-65」といったモデルを指すことが多いです。これらのコートは、膝まで届く長い着丈、大きなフード、そして特徴的な「フィッシュテール」と呼ばれる裾の後ろが燕尾状に二股に分かれたデザインを持っています。また、保温性を高めるための着脱可能なライナーが付いているのも大きな特徴です。

1960年代のイギリスでは、こうしたミリタリー surplus(放出品)が比較的安価に入手可能でした。当時の若いモッズたちは、オーダーメイドのスーツやポロシャツといった洗練されたインナーの上に、この実用的でタフなコートを羽織ることで、雨や泥から高価な衣服を守りました。特に、彼らが移動手段としていたスクーター(ベスパやランブレッタなど)に乗る際に、全身を覆うモッズコートは非常に都合が良かったのです。

単なる実用性だけでなく、既成概念に囚われないミリタリーアイテムをファッションとして取り入れる姿勢は、当時のユースカルチャーにおける反骨精神や個性の表現とも繋がっていました。こうして、モッズコートは音楽、スクーター、そして独自のスタイルを愛するモッズたちの象徴的なアイテムとなっていったのです。

モッズスタイルに取り入れるモッズコートの選び方

これからモッズファッションを始めてみたいという方が、最初にモッズコートを選ぶ際に考慮すべきポイントをいくつかご紹介します。

初めての一着としては、定番のオリーブカラーで、フィッシュテールのあるM-51タイプの現代的なリプロダクションモデルなどが、取り入れやすく、着こなしの幅も広がるかもしれません。

定番から応用まで:モッズコートの着こなしポイント

モッズコートは、それ自体に強い個性があるため、一枚羽織るだけでスタイルが決まりやすいアイテムです。初心者の方がモッズスタイルを意識して着こなすための基本的なポイントをご紹介します。

モッズコートは、上記のような定番の組み合わせだけでなく、現代のカジュアルウェアとも自然に馴染みます。パーカーやスウェットの上に羽織ったり、デニムと合わせたりするなど、自由にアレンジを楽しむことも可能です。その汎用性の高さも、モッズコートが時代を超えて愛される理由の一つと言えるでしょう。

まとめ

モッズコートは、単なるアウターではなく、特定の音楽シーンやユースカルチャーの歴史と深く結びついた、ストーリーのあるアイテムです。その機能的なデザインと反骨精神を秘めたスタイルは、現代のファッションにおいても色褪せることなく、多くの人々に取り入れられています。

初めてモッズファッションに触れる方にとって、モッズコートはスタイルへの入り口として非常に適しています。その歴史的背景を知り、自分に合った一着を選び、基本的な着こなしのポイントを押さえることで、モッズスタイルの奥深さに触れることができるでしょう。ぜひ、この象徴的なアイテムを通して、モッズシーンの世界観を感じてみてください。